車の改造 中級車編 LSD
LSDとは
Limited slip differentialの略語で、日本語では「差動制限装置」といいます。
詳しくはググってください、と言いたいところですが、簡単に解説します。
差動装置（differential）とは、歯車を組み合わせて、左右のタイヤに伝わる回転力を適切に振り分ける装置です。
教習所で「内輪差、あるいは、外輪差」というものを教授されたと思います。
車が曲がるときには、内側のタイヤと外側のタイヤで、移動する距離が変わります。
距離が変わるということは、車が曲がる際には、内側のタイヤは遅く回転して、外側のタイヤは早く回転しないとスムーズに曲がることができないはずですよね。
これはタイヤの回転数、つまり、回転スピードの違いとして現れますので、内側と外側のタイヤの回転スピードの差をうまく配分できる装置があれば、スムーズに曲がることができるようになります。
これを実現するのがデファレンシャルギアです。
構造とその働きは、ググれ！（笑）
FFの場合はミッションケースに一個。
FRの場合はリアにデフケースがあり、そこに一個。
四駆の場合は、回転差が４輪全てに発生しますので、前輪用、後輪用、前輪と後輪を繋ぐシャフトの間にそれぞれ一個ずつ、合計３つ付いています。
では、このデフギア、大抵はごく普通の歯車式の通称「オープンデフ」がなぜダメなのか、というと・・・。
何らかの事情で片側の車輪のタイヤのグリップが失われたとき。
片輪が浮く、片輪だけ水や泥、氷などに乗ったときなどなど。
グリップがなくなった車輪に、
全ての回転を持って行かれてしまう。
という状態になります。
つまり、まともに接地しているほうの車輪に動力が全く伝わらなくなるので、車を加速することができなくなります。
通常の運転ではそれほど困ることは・・・あるか、雪とか大雨の時とか・・・。
とにかく、この状態になると、本当にどうやっても車を走らせることができません。
で。
モータースポーツでは、片輪が浮くなんてことはよくあることです。
それはジムカーナでも同じく。
高速コーナリングの時だけではなく、サイドターンの際にも強烈なGの変化があるので、片輪のグリップが薄くなったり失われるのなんてザラに発生します。
ブレーキを強化して、サイドターンのきっかけを作ることができても、それを持続させ、車を前に進めるためにはどうしてもこのデフギアの動作を止めて、差動を制限したくなります。
そうすると、たとえ片輪が浮いても差動が制限されているわけですから、タイヤの回転力は設置しているタイヤに伝わるようになります。
そこで、差動を制限するために必要なパーツが
「差動・制限・装置」
であるところの、
LSD
となるわけです。
つまり、これつけると作動が制限されるので、通常の運転だと曲がりにくくなることがあります。
ジムカーナでは一般的に機械式LSDというものが使用されます。
制限力（差動トルク、と言います）を自在に設定でき、高い差動制限力を持つLSDなのですが、多板式クラッチを使用していますので、摩耗やデフオイルの汚れが早く、定期的なメンテナンスが欠かせません。
本気組のクルマで「ゴリゴリ！」だの「バキバキッ！」だのと大きな音を立てながら曲がりにくそうにしているクルマを見たことがあるかと思います。
それがまさに機械式LSDという差動制限装置が効いている証拠で、同時に曲がりにくくなっていることの証明でもあります。
たとえ曲がりにくくなっても、どのような状況でも加速できるLSDを装着した方が速く走れることが多いわけですね。
ジムカーナでは、俗に言う「つるし」の状態、つまり、購入したそのままの状態だと制限力が弱く、あまり役に立たない場合がほとんどです。
それでもないよりはマシですが。
そこで、ジムカーナでは差動トルクを上げるために、購入状態からさらに多板クラッチやパーツを追加、変更して差動制限力を上げ、ジムカーナに最適なトルクを得られるようにします。
これを行うためには個人ではなかなかに難しく、素直に専門のショップさんにお願いして装着してもらうのが近道です。
G6ジムカーナの主催ショップさんならこの作業が行えますし、近所にそういったショップさんがある場合は、そちらを利用しても構いません。
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LSD装着によるタイムアップ効果は歴然で、ターン区間はもとより、コーナリングスピードも格段に速くなります。
当然、技術は必要ですし、練習も必要になりますが・・・。
効果は高いですが、値段も高いLSDです。
専門のショップさんで、確実に取り付けてもらいましょう。